炭素工具鋼鋼材(SK材)の用途、機械的性質、成分の一覧

2010年8月14日更新

工具鋼のなかでも使用頻度の高い鋼材です。C量が0.6〜1.5%で焼入れ・焼き戻しを行うことで硬度を出すことができる材料で、硬度のほか耐摩耗性にも優れ、切削工具に使われるタイプもあります。ただSK材全般は高温になると硬度が低下する特徴があり、熱の発生の比較的少ないタイプの手工具、例えばヤスリ、カミソリ、刃物、錐、斧、ゲージ、ぜんまい、ペン先、チゼル、刻印、丸のこ等によく使われます。JIS規格では11種類の鋼種について規定されています(以前はSK1、SK2、SK3、SK4、SK5、SK6、SK7の7種類でした)。

SK材は炭素量が0.6%を超えるものと規定されていますが、実際、この炭素量にあると硬度はほとんど変わらず、あとは耐摩耗性や耐衝撃性が変わってきます。機械構造用炭素鋼(SxxC材)との線引きが0.6%になっているのはこうしたことが背景にあります。

SK材の加工にはWA系の研削砥石が使われます。鉄よりも当然硬い材料となりますので、高能率の研削や細かい加工などがいる場合はCBN砥石が使われます。

「JIS G 4401:2009 炭素工具鋼鋼材」に規定のある材料記号

炭素工具鋼鋼材(SK材)のJISとISOの対照表
JIS ISO
SK140 -
SK120 C120U
SK105 C105U
SK95 -
SK90 C90U
SK85 -
SK80 C80U
SK75 -
SK70 C70U
SK65 -
SK60 -

炭素工具鋼鋼材(SK)の材料記号の新旧対照表

2000年 1983年 1972年 1965年 1956年 1953年 1950年
SK140 SK1 SK1 SK1 SK1 SK1 SK1
SK120 SK2 SK2 SK2 SK2 SK2 SK2
SK105 SK3 SK3 SK3 SK3 SK3 SK3
SK95 SK4 SK4 SK4 SK4 SK4 SK4
SK90 - - - - - -
SK85 SK5 SK5 SK5 SK5 SK5 SK5
SK80 - - - - - -
SK75 SK6 SK6 SK6 SK6 SK6 SK6
SK70 - - - - - -
SK65 SK7 SK7 SK7 SK7 SK7 SK7
SK60 - - - - - -

材料記号が変わる場合、化学成分や機械的性質が全く同じということは稀です。したがって、対照表は旧規格が新規格に対応しているわけではありません。

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