チタン合金(展伸材、純チタン、スポンジチタン)メーカーの一覧

2010年11月11日更新

チタン合金とは一般にはチタンの展伸材のことですが、この状態として利用可能になるまでにはいくつか段階があります。大まかにいえば、チタン鉱石(ルチル鉱石、イルメナイト鉱石)から酸化チタン、ここからスポンジチタンに加工されて、インゴットにし、板や棒、線、管などのチタン展伸材となります。スポンジチタンについては、東邦チタニウム、大阪チタニウムテクノロジーズ(以前の住友チタニウム)の二社による寡占市場となっており、同二社で世界2位の生産量を持つと言われています。

世界需要の約半分が航空機分野に使われているといわれていますが、これは軽量であることに加え、さらに軽い炭素繊維強化プラスチックであるCFRPと相性がよく、アルミニウム合金とCFRPを組み合わせた場合に起きるガルバニック腐食の問題が起きないため、利用が拡がっています。

またチタンはライフサイクルが半永久的で海水に腐食しにくいことから、海水淡水化プラント、原子力発電所、海洋土木、海上橋梁、LNGプラント、カセイソーダ分解プラント、テレフタール酸プラント等にも使われます。ほかにも強度と軽さ、錆びにくさからゴルフクラブ、テニスラケットなどのスポーツ用品、建材、屋根材として、メガネ(フレーム)、腕時計、アクセサリー、カメラの筺体、生体親和性に優れた人体にやさしい素材でもあることから人工骨、人工歯根としても使われます。

なお、JIS H 4600「チタン及びチタン合金−板及び条」では1種、2種、3種、4種、11種、12種、13種、14種、15種、16種、17種、18種、19種、20種、21種、22種、23種、50種、60種、60E種、61種、61F種、80種の合計23種類について規定があります。

 
東邦チタニウム
国内でスポンジチタンが製造可能な2社のうちの1社。チタン鉱石から、高純度チタン(半導体用スパッタリングターゲット用)、チタンインゴットまで生産し、展伸材メーカーへ供給する。
大阪チタニウムテクノロジーズ(元の住友チタニウム)
事業軸としては、チタン、半導体材料(シリコン)、高機能材料(SiOやチタン粉末)の3つがある。このうち、チタン製品としては、四塩化チタンとその水溶液、スポンジチタン、チタンインゴット、フェロチタンを製造する。大阪チタニウムと東邦チタニウムの二社から、スポンジチタンやインゴットが展伸材メーカー(鉄鋼メーカーが多い)に供給される。
神戸製鋼所
鉄鋼大手だが、「神戸チタン」のブランド名で同事業を展開。コイル、薄板、厚板、薄肉溶接管、配管用溶接管、シームレス管、線、棒などのチタン展伸材を製造。神戸製鋼の独自のチタン規格(神鋼規格)としては、KS40S、KS40、KS50、KS60、KS70、KS85、KS100、KS120SI、KS40PDA、KS50PDA、KS50AKOT、KSG12、KS3-2.5、KS6-4、KSTI-9、KS6-6-2等がある。
住友金属工業
チタンについては住友金属直江津で製造。独自の住友規格としては、ST-40、ST-50、ST-70、ST-80、ST-40P、ST-50PC、ST-70PC、ST40PD等がある。採用実績も紹介されており、ニッケル製錬プロジェクト、エアバスA380、川崎重工業のNinja ZX-10R(二輪車の純正マフラーの溶接管として)、高級時計、ゴルフクラブ、野球用スパイク等が掲載されている。
新日本製鐵
鉄鋼だけでなく、チタンの冷延板、コイル、溶接管、熱延板、厚中板、線材、箔、加工製品等を製造。化学工業、電力、土木・建材、自動車、民生品等の幅広い分野で使われている。詳細なカタログがPDFで入手できる。
JFEスチール
1985年からチタン製品の製造を開始。独自の新チタン合金SP-700は高強度、加工性の良さを特徴とし、Ti-6Al-4Vに比べても優れた特性を発揮する。ラインナップとして、純チタン、SP-700、チタンクラッド等がある。
大同特殊鋼
純チタンの他、形状記憶合金としても知られる(Ni-Ti)も扱う。航空・宇宙、自動車、船舶、化学、発電関連、スポーツ、装飾、日用品などの分野のほか、医療用途では、インプラント、歯科、手術、アウトプラント用としても使われる。独自の規格「大同鋼種」として、DT1、DT2、DT3、DT4、DAT51、DAT52、DAT5E、DAT67があり、切削加工性を改善した快削チタン合金 DAT52Fなど特徴ある製品を持つ。
住友軽金属
アルミ、銅製品で知られる。HP等にはチタン製品の紹介が一切ないが、愛知県にある伸銅所チタン工場における溶接チタン管の設備を増強している。
アルバック(ULVAC)
真空ポンプ、真空装置や周辺機器の大手メーカー。高融点の金属材料を加工するノウハウを生かし、ジルコニウム、ニオブ、タンタル、タングステン、モリブデンの他、チタンの板材、線、棒、箔などの展伸材を製造。
JX日鉱日石金属
コネクターやスイッチとして使われるチタン銅系合金C1990、HPTC、NKT180、NKT322 GIGALLOYを扱う。
三菱マテリアル
航空機機体・部品用として高温強度、耐酸化、鍛造性に優れた軽量素材として紹介。三菱マテリアル高性能材料のサイトでは発泡チタン(気孔率95%以上)や極薄のチタンシート等のチタン製品が紹介されている。
古河電工
情報通信、エレクトロニクス、自動車、エネルギー、建設・建築、マテリアル、バイオ分野の事業を展開。このうち、マテリアル事業「伸銅品」の製品群の中に、チタン薄肉溶接管が紹介されている。
愛知製鋼
トヨタグループの鋼材メーカー。熱間圧延技術を基礎としたチタン製品を製造。形状は、アングル、チャンネル、FB、正角、六角、丸棒、線材等。
TIMET【英語サイト】
TIMETALのブランドを持つ世界最大級のチタンメーカー。米国に本社を置く。スポンジチタン、インゴット、展伸材を製造販売する。製品紹介のコーナーでは、対応するASTMのグレードが明記してあり、化学成分、機械的性質、熱処理、物性などのデータが掲載されている。製品としては、TIMETAL 75A (CP Ti:商業用純チタン)、TIMETAL35A、50A、65A、TIMETAL 6-4、TIMETAL 3-25、TIMETAL 550、TIMETAL 230などがある。
RTI【英語サイト】
エアバスやボーイングなどの航空機メーカーにも供給する米国にある大手チタンメーカー。主にインゴットや展伸材を手掛ける。用途により、カスタム形状や部品としての供給にも対応している。汎用工業材料としては、板、条、管、棒、線材等での形状で販売。
ATI【英語サイト】
米国の大手チタンメーカー。スポンジチタン、インゴット、展伸材を製造。製品として、ATI 425、ATI 6-4、ATI 15-333などがあり、一部技術情報についても掲載されている。
ThyssenKrupp Titanium(DEUTSCHE TITAN GMBH)【英語サイト】
ThyssenKrupp Titanium社はヨーロッパで60年以上の歴史を持つドイツのチタンメーカー。傘下にTITANIA S.P.A(イタリア)がある。CPチタンやチタン合金としては、インゴット、展伸材を製造販売する。宇宙航空産業への供給からスタートした。
Valtimet【英語サイト】
1976創業のフランス大手ステンレス、チタンメーカー。展伸材の製造販売。中国大手チタンメーカーのBAOJIと合弁会社も作っている。

チタン合金メーカーの関連分野のリンク

 

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いです。toishi.uijin.com@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削に関わりのあるリンクを集めています。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトなど。関連分野で相互リンクご希望の方はお問い合わせください。

研磨、研削、砥石リンク集