硫黄および硫黄複合快削鋼鋼材(SUM材)の用途、機械的性質、成分の一覧

2010年8月14日更新

SやP,Pbなどの元素を添加すると、加工性が向上することから、このSUM材は通常の鉄鋼材料に比べて切削性や加工性を改善したタイプになります。SUM材は特に切削がしやすい鋼材といえます。前記の快削性元素(S、P、Pb)を単体で添加しているタイプと、複数を組み合わせているタイプとがあります。複合快削鋼とは後者のことをいいます。添加元素によっても、切削性を重視したタイプはSを添加しているS快削鋼、機械的性質を重視した場合はPbを添加したPb快削鋼といった分け方もできます。

SUM材の分類と特徴

SUM11,22,22L

切削性に重点を置いたタイプで、低炭素快削鋼とも言われます。機械的性質(強度など)よりも切削性が重視される場合に選択される鋼です。

SUM31,32,41,42,43,31L

中程度の炭素量で強度を持たせており、中炭素快削鋼ともいいます。SUM31はSS400相当、SUM41,42,43はS35C, S40C, S45C相当の強度を持ちます。熱処理(調質)して使います。S(硫黄)による強度劣化を防ぐために、Mn(マンガン)の比率を高めにしてあります。

複合快削鋼(S快削鋼ともいいます)には、機械的性質に方向性があると言われています。S(硫黄)の含有比率が多いほどに、圧延と直角方向での延性やじん性が多少劣るとされます。たいして、快削性元素であるPbを添加したPb快削鋼は、単体元素が均一分布しているため、展延性に優れ、S快削鋼のような異方性はないと言われています。ただこちらはPbの融点により機械的性質が左右されるため、327℃より高い温度になると機械的性質は劣化します。一般にPb快削鋼は焼入れ、焼き戻しなどの熱処理をして使います。

「JIS G 4804:2008 硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材」に規定のある材料記号

硫黄及び硫黄複合快削鋼鋼材(SUM)の材料記号の変遷:JISの新旧対照表

2008年 1983年 1970年 1952年
- - - SUM1A
- - - SUM1B
SUM32 SUM32 SUM32 SUM2
- - - SUM3
- - - SUM4
- - - SUM5
- SUM11 SUM11 -
- SUM12 SUM12 -
SUM21 SUM21 SUM21 -
SUM22 SUM22 SUM22 -
SUM22L SUM22L SUM22L -
SUM23 SUM23 SUM23 -
SUM23L SUM23L SUM23L -
SUM24L SUM24L SUM24L -
SUM31 SUM31 SUM31 -
SUM31L SUM31L SUM31L -
SUM41 SUM41 SUM41 -
SUM42 SUM42 SUM42 -
SUM43 SUM43 SUM43 -
SUM25 SUM25 - -

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