ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の物性と用途、特性について

2011年6月17日更新

フッ素と炭素のみで作られたフッ素樹脂で、耐熱温度は260℃になります。耐寒性については−100℃程度まで耐性があります。耐熱性や耐薬品性に優れており、粘着しません。色は乳白色です。スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)に分類されます。一般にはテフロンの商標名でしられており、焦げ付かないフライパンなど調理器具でもよく見られる樹脂です。耐熱性については他の樹脂を大きく引き離す性能を持ちます。ただ、260℃以上で用いると劣化していき、約350℃以上で分解すると言われています。PTFEの融点そのものは約327℃です。

成形される前の状態では乳白色で、ロウのような液体です。流動性がよくないのが難点といえます。他の合成樹脂からみるとかなり異なる性質を備えています。

耐薬品性については様々な薬品に対して耐性を持っており、フッ化水素酸でも溶かすことができません。耐侯性も備えており、直射日光下でも強い耐性を持ちます。こうした点では他の樹脂系統とは一線を画す性能を持ちます。なお、放射線によって脆化すると言われています。他にPTFEを侵す可能性のある薬品は、溶融アルカリ金属や高温のフッ素、三フッ化塩素などが知られています。

絶縁材としても優れており、絶縁抵抗、絶縁破壊についてはプラスチックの中で最も優れた値を持ちます。吸湿、吸水性もともに0%です。

機械的特性については低摩擦に特長があります。切削は比較的しやすいと言われますが、成形そのものの難度は高く、充填剤次第で加工のしやすさは大きく変わります。

用途はフライパン内面コーティング、電気・電子部品、絶縁材料、軸受、ガスケット、各種パッキン、フィルター、半導体工業分野、電線被覆などが知られています。

テフロンの歴史は意外と古く、1938年にデュポン社で発見されています。

ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の物性、特性
種類 無充填
物理的性質 密度(g・cm^-3) 2.14から2.2
融点(℃) 結晶性 327
非晶性
透明度 透明から不透明
吸水率(%)3mm、24h 0.00
成形特性 成形温度範囲(℃)
成形圧力範囲(kgf・cm^-2)
成形収縮率(%)
機械的性質 引張強さ(kgf・mm^-2) 1.4から3.5
最大伸び率(%) 200から400
圧縮強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) 1.2
曲げ強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2)
引張弾性率(kgf・mm^-2) 40.8
圧縮弾性率(kgf・mm^-2)
曲げ弾性率(kgf・mm^-2)
アイゾット衝撃値(kgf・cm・cm^-1) 16.3
硬度(硬さ) ロックウェル
ショア 50〜55(D)
熱的性質 熱伝導率(10^-4cal・s^-1cm^-2)(K・cm^-1)^-1 6.0
比熱(cal・K^-1g^-1) 0.25
線熱膨張率(10^-5K^-1) 10.0
熱変形温度(℃)
18.6kgf・cm^-2
4.6kgf・cm^-2
電気的性質 体積抵抗率(Ω・cm)(23℃、50%RH相対湿度) >1018
絶縁強さ(短時間法)(3.18mm)/kV・mm-1 18.8
比誘電率(εγ 60Hz <2.1
MHz <2.1
誘電正接(tanδ) 60Hz 0.0002
MHz 0.0002
化学的性質、耐薬品性 燃焼性、速度(mm・min-1 <4
日光の影響
弱酸の影響
強酸の影響
弱アルカリの影響
強アルカリの影響
有機溶剤の影響

>このページ「ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の物性と用途、特性について」の先頭へ

加工材料の性質と特徴(目次)へ戻る
「プラスチックの種類と用途、物性について」へ戻る

ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の物性と用途、特性についての関連記事とリンク

 

このサイトについて

研削・研磨に関わる情報を集め、提供しています。「専門的でわかりにくい」といわれる砥石の世界。わかりやすく役に立つ情報掲載を心がけています。砥石選びや研削研磨でお困りのときに役立てていただければ幸いです。toishi.uijin.com@管理人

ダイヤモンド砥石のリンク集

研磨や研削に関わりのあるリンクを集めています。研削・切削液、研削盤、砥石メーカー各社のサイトなど。関連分野で相互リンクご希望の方はお問い合わせください。

研磨、研削、砥石リンク集