ポリエチレン(PE)の物性と用途、特性について

2011年6月17日更新

構造上、エチレンが重合したもので、低密度のものと、高密度のもの、直鎖状低密度のもの、超高分子のもの等いくつか種類があります。熱可塑性プラスチックに分類されます。剛性は密度に比例して高くなります。比重の異なるものを容易に作り出すこともでき、安価で大量生産されているため、ビニール袋をはじめ、多くの用途に使われています。無臭で、軽く、防湿性や電気絶縁性に優れています。化学的に安定しているため、耐水性(吸水率が低い)や耐薬品性も期待できます。

低密度ポリエチレン

低密度ポリエチレンを常用する場合の耐熱温度は70〜90℃と言われます。比重が0.94未満で、水よりも軽いプラスチックです。反面、耐熱温度はあまり高くないですが、耐薬品性(耐酸、耐アルカリ)や耐水、電気絶縁性、などには優れています。添加剤を使用せずに成形することができます。

低温脆性にも優れており、寒中でも脆性破壊を起こしにくく、零下20℃程度まで耐性があるとされます。機械的には強い部類です。用途は、袋やラップなどの包装材、食品チューブ、農業用フィルム、電線の被覆用途、フィルム、酢ビとの共重合材料、塗料、積層品等です。

高密度ポリエチレン

高密度ポリエチレンを常用する場合の耐熱温度は90〜110℃で、このタイプは剛性に優れています。結晶性は低密度ポリエチレンとは逆に高くなります。比重は低密度のものに比べて若干重くなりますが、依然水よりは軽いです。低密度ポリエチレン同様に、電気絶縁性や耐酸性、耐アルカリ性などの耐薬品性が良好です。また低密度のものに比べると、耐熱性や剛性に優れた素材です。色は白く、不透明です。

主な用途は、食品容器や各種フィルム、袋、シャンプー容器、バケツ、ガソリンタンク、灯油缶、コンテナ、パイプ、射出成形材料全般、雑貨全般、工業部品、発泡材、パイプ、ブロー成型品、ラミネート包装の内面などに使われます。

ポリエチレン(PE)の物性
種類、タイプ 低密度 高密度 エチレン・酢酸ビニル共重合体 超高分子量
物理的性質 密度(g・cm^-3) 0.91から0.92 0.94から0.965 0.92から0.95 0.94
融点(℃) 結晶性 95から130 120から140 65から90 125から135
非晶性 - - - -
透明度 透明から不透明
吸水率(%)3mm、24h <0.01 <0.01 0.05から0.13 <0.01
成形特性 成形温度範囲(℃) 射出、148から315 射出、148から315 射出、120から220
成形圧力範囲(kgf・cm^-2) 563から1400 563から1400 563から1400
成形収縮率(%) 1.5から5.0 2.0から5.0 0.7から1.2
機械的性質 引張強さ(kgf・mm^-2) 0.42から1.61 2.18から3.87 1.01から1.97 1.76から2.46
最大伸び率(%) 90から600 20から1300 550から900 300から500
圧縮強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2) 1.9から2.5
曲げ強さ(破壊、降伏)(kgf・mm^-2)
引張弾性率(kgf・mm^-2) 9.8から26.7 42.2から127 1.4から8.4 14.1から77.3
圧縮弾性率(kgf・mm^-2) - - - -
曲げ弾性率(kgf・mm^-2) 5.62から42.2 70.3から183 0.7から14.1 91.4から98.4
アイゾット衝撃値(kgf・cm・cm^-1) 破断しない 2.7から109 破断しない 破断しない
硬度(硬さ) ロックウェル
ショア D41〜50 D60〜70 D17〜45 D60〜70
熱的性質 熱伝導率(10^-4cal・s^-1cm^-2)(K・cm^-1)^-1 8.0 11.0から12.4
比熱(cal・K^-1g^-1) 0.55
線熱膨張率(10^-5K^-1) 10から22 11から13 16から20 7.2
熱変形温度(℃)
18.6kgf・cm^-2
4.6kgf・cm^-2
50から58.3 61から72.2 51.7 58.3から66.7
電気的性質 体積抵抗率(Ω・cm)(23℃、50%RH相対湿度) >1016 >1016 1015 >1016
絶縁強さ(短時間法)(3.18mm)/kV・mm-1 16.5から27.5 17.3から23.6 24.4から30.0 26.7
比誘電率(εγ 60Hz 2.25から2.35 2.30から2.35 2.50から3.16
MHz 2.25から2.35 2.30から2.35 2.60から3.20 2.30
誘電正接(tanδ) 60Hz <0.0005 <0.0005 0.003から0.020
MHz <0.0005 <0.0005 0.03から0.05 0.0002
化学的性質、耐薬品性 燃焼性、速度(mm・min-1 26.4 25.4から26.4
日光の影響 白化 白化 わずかに黄色化
弱酸の影響 抵抗 抵抗強 抵抗 抵抗大
強酸の影響 酸化性酸に侵される 酸化性酸にわずか 侵される 酸化性酸に侵される
弱アルカリの影響 抵抗 抵抗強 抵抗 抵抗強
強アルカリの影響 抵抗 抵抗大 抵抗 抵抗強
有機溶剤の影響 60℃以下で抵抗 80℃以下で抵抗 50℃以上で侵される 80℃以下で抵抗

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