マグネシウム合金の種類、特性や用途について

2011年2月27日更新

マグネシウムは非鉄金属材料の中でも特に「軽さ」に着目されて使われることの多い素材と言えます。純マグネシウムでは比重がわずか1.7程度しかなく、軽量であるアルミニウムの2.7よりもさらに軽いことが分かります。これは鉄の7.8から比べると4分の1ほどになります。引張強さを比重で割った比強度は高い材料ですが、伸びが小さく、マグネシウムそのものは鉄に比べると軟質の材料です。またヤング率もアルミの3分の2ほどになります。ただ実際にはアルミやチタン、銅等の他の非鉄金属と同様に添加元素をくわえた「マグネシウム合金」として使われることのほうが多いため、純マグネシウムにはない諸特性を備えた優れた材料の一つとして幅広く活用されています。

マグネシウム合金の種類

他の金属材料と同じく、製法の違いから展伸材と鋳造材、ダイカスト用があります。またそれぞれについて、添加されている合金元素によって様々な性質を持つようになります。マグネシウム合金材料を示す「記号」はJISに規定がありますが、実際にはASTMの材料記号がよく使われます。例えばASTMの記号としてはAZ91やAZ31などがありますが、これらはアルミと亜鉛が含有していることが一目でわかるため、一般によく使われています。

合金の成分から次のような分類が可能です。

  • AM系(Mg-Alの合金)
  • AZ系(Mg-Al-Znの合金)
  • ZK系(Mg-Zn-Zrの合金)
  • ZC系(Mg-Cu-Znの合金)
  • EZ系(Mg-希土類元素-Zrの合金)
  • QE系(Mg-Zr-希土類元素-Agの合金)
  • WE系(Mg-Y-希土類元素の合金)
  • AS系(Mg-Al-Siの合金)
  • AE系(Mg-Al-希土類元素)
  • M系(Mg-Mnの合金)

ASTM(米国材料試験協会)の材料記号は添加されている「元素」を表しており、各記号と元素の対応関係は以下の通りです。これらの元素は機械的性質や鍛造性、耐熱性、耐食性などを改善するために添加されます。

記号 元素
A Al(アルミニウム)
Z Zn(亜鉛)
K Zr(ジルコニウム)
M Mn
E 希土類元素
Q Ag(銀)
S Si(シリコン)
H Th(トリウム)
L Li(リチウム)
W Y(イットリウム)

マグネシウム合金の特性

先にも述べたとおり、最大の特徴はその軽さにある材料ですが、他にも、特徴はあります。まず、マグネシウムは電磁波を遮蔽する特性があります。高温で加熱しても形状が崩れにくく、形や精度を保つことができるため、寸法精度が温度によって狂いにくいです。

被削性がよく、切削するのに必要な力(切削動力)が少なくてすむ材料で、アルミの半分程度、軟鋼の5分の1といわれます。切削抵抗が低く、さらに切削速度依存性がないため、高速の切削加工でも能率的に加工が可能で、鏡面加工が容易にできます(合金にもよります)。アルミ同様に少ないエネルギーでリサイクルできる材料です。

電気抵抗は金、銀、銅、アルミに次いで電気抵抗率が低く、電気を通しやすい材料と言えますが、温度が上昇すると反対に高くなります。マグネシウムは軽い割に減衰能が高く、振動を吸収する性質を持ち、繰り返し運動に強い特徴があります。

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