油や水などで砥石の滑りをよくさせるのはなぜですか

2011年10月3日更新

研磨は、物体の表面を細かく削ってなだらかにしていく加工です。このため、刃物でモノを削ったりするのと少々異なるメカニズムを持っています。

砥石も削る加工の一種ですから、刃物の役割を持つ「砥粒」という粒、つまり研磨材が砥石の中に大量にまぶしてあります。この砥粒は砥石を使う際には、その表面から少し頭を突き出している状態になっています。

砥石がカッターなどの刃物と大きく異なるのは、この無数の「砥粒」が生え変わる自生作用という現象を伴いながら、ものを削っていくという点です。

また刃物は折れてしまったり、割れてしまったりすると使うことができませんが、砥石の砥粒は加工中に細かく砕けていくことで切れ味を保つという特性を持っています。砥石のなかにある砥粒が生え変わっていくのは、この細かく砕けていく「破砕」という現象とともに、砥粒をかためている砥石の本体ともいえるボンドが削れ、砥石が減っていくことで下にある新しい砥粒が出てくるからです。

この際、砥石の表面から出ている砥粒と砥粒の間に、加工物を削った切り屑や砥石の削れ屑などがつまってくると、うまく生え変わらなくなります。油や水を使うのは、こうした目詰まりを防ぐ目的もあります。

また砥石を使う場合、手で用いる場合はほとんど問題になりませんが、高速回転が前提となる機械加工では加工対象と砥石が接する部分の温度は非常に高くなります。加工内容によってはその温度は時に1000℃を超えることもあります。 水や油を使うことで、砥石と加工対象の間に起きる摩擦抵抗を少しでも下げ、温度を下げるというのも水や油等を使う目的の一つです。加工中に高温になればなるほど、砥石の性能は発揮づらくなり、例えばダイヤモンド砥石などでは明らかに切れ味が低下してきます。また加工対象の表面や砥石の表面に「焼け」が発生してワークが台無しになる可能性も高くなってきます。

油や水を使わない「乾式研磨」という方法もあり、こちらもよく使われる手法ですが、水や油を使う「湿式研磨」とともに双方にメリットやデメリットがありますので、状況に合わせて使い分けていくとよいでしょう。

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