砥石の製法について教えてください。

2010年12月19日更新

ごく単純化して言えば、砥石は「粉」を金型につめて焼いたものです。ブロック形状をしているので、山から切り出してきたのではないかと思われがちですが、こうした岩石などから切り出して用いるのはいわゆる「天然砥石」のほうです。人造砥石は、窯で焼いて作られる焼結体で、粉末上になっている砥粒、ボンド(例えばメタルならば該当する金属粉末を混合したもの)、場合によっては気孔の元になる粉(高温で焼かれると蒸発してその部分に空孔ができます)を金型に詰めて焼きます。

型にどのような状態で詰めるのか、また撹拌をどうするのか、砥石の成分となる物質の配合比率、焼き方、切り方、検査、品質管理方法などが各メーカーのノウハウと言えます。またこのときに、砥石の刃とも言うべき「砥粒」を混合しますが、この大きさも単一の粒度ではなく、複数を意図して混ぜるケースもあります。

焼き物を製作されたことがある方はご存じかも知れませんが、窯の中の温度というのはすべての場所で均一であることが望ましいですが、実際にはそうはなっていません。温度の上昇に伴い、徐々に熱がまわっていきますが、この熱の履歴も窯の中のポジションや温度の上げ方によっても変わります。最近では自動化されてはいますが、どれくらいの期間でどれくらいの温度まで上げ、それをどれくらい維持して下げるのか、という点は砥石づくりにおいては非常に重要な要素の一つです。

また工業製品である以上、ダイヤモンド砥粒などが砥石の中で偏っていては加工に差し障りが出てしまいますので、これらを均一に分散する技術もあります。ただ、厳密な話をすれば、ダイヤモンドの量こそ同等であっても、どの部分にどれくらいの砥粒があるのか細かいところまでは理論的な管理以上のものはできません。ダイヤモンド工具の中には、ダイヤを一つ一つ均等に埋め込んでいるものもありますが、こと焼結体の砥石に関して言えば、多少のムラは出ることがあります。

砥石の焼結体の不均質については、焼きあがった砥石のブロックが大きければ大きいほど顕著になります。焼き物ですから、内側と外側ではだいぶ熱のかかり方がかわるためです。ダイヤモンドホイールの場合は、大きなブロック砥石から切り出してチップにするというケースはありませんが、金型等に使うスティック状のものやホーニング砥石などは、ブロックで作ったのちに、細く切断している場合があります。硬度計ではかると、各部位が微妙に異なるのはこうした事情があります。

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