御影石の研磨について

2011年4月8日更新

御影石は正確には花崗岩に分類される石で、墓石をはじめ、建材として建物の床や壁、外装など様々なシーンで使われている石材です。建築物としての利用は、日本は海外ほど使われてはいませんが、天然石材の持つ高級感ある風合いは快適な空間を作り出す不可欠な要素でもあります。実用面でも、建材として使うことのできる構造材と言う視点で見ると、強度が強く、他の石種に比べて吸水率が低いため、耐候性に優れ、風化しにくい石材と言えます。また薬品についても石材の中では強く、耐酸性もあります。

御影石の機械的性質
比重 2.65
耐圧強度(5cm立方) 約43t
吸水率 0.29%
   

ただ火を直接あてるなどの高温・高熱にはあまり強い材料ではありません。というのも、御影石は複数の鉱物から構成された石材で、包含している鉱物としては雲母や長石、石英などで、それぞれが熱を受けたときに膨張する熱膨張係数が異なるため、クラックや亀裂が入ってしまいます。また機械的強度についても、圧縮に対する力には強い反面、引張についてはあまり強くありません。

御影石にも国や地域によって様々な模様や色を持つものがあり、インドの黒御影石であるクンナムや、フィンランド、ノルウェー、ブラジル、中国などのものが世界的には流通しています。日本では庵治石や稲田石、本小松石などが有名です。

石材の場合は、金属材料のように硬度がHRCで表示されることはありませんが、その性質の違いは、吸水率、密度、構成物質(雲母などの割合)で決まります。研磨のしやすさや、鏡面に仕上げる際の難易度もこれらで概ね決まります。見た目が重視されるワークであり、金属とは違って、御影石の場合は色の違いによっても研磨の難易度が異なるという特異な材料です。

現在、御影石の研磨にはダイヤモンド砥石が良く使われています。GCなどの一般砥石を使って加工する方法もあります。御影石を研磨する、という場合は日本国内の場合は用途はかなり限定されており、墓石、建築石材、石碑などのモニュメント、石床(石のフロア)等となります。なお、一般的に石材の研磨工程は、荒石からガングソーやブレードなどで適度な大きさに切断された後、荒磨き、水磨きを経て、ツヤを出す本磨きを終えて、完成となりますが、製造される石製品によって研磨工程の数は増減します。

それぞれ専用の研磨機を使って加工され、墓石や建築石材の面は、研削砥石ではなく、研磨盤がよく使われます。板材の端面や厚みを落とすための加工にはドラムホイール等のダイヤモンド工具を使います。

なお、花崗岩(御影石)は石の中でもかなり硬い部類になりますので、磨く際には機械研磨が基本となり、使う砥石もダイヤモンド砥石が最も効率的です。鏡面に持っていくまでには、粗、中仕上げ、仕上げのそれぞれで番手(粒度)を上げていき、最終工程でバフを使って鏡面を出します。各種金属系素材やステンレスをはじめとする材料を対象にしたバフと、石材のバフとはだいぶ異なり、石種の色に応じたバフ専用工具を使います。研磨中はバフと石材との間は高温になり、時に100℃前後になることもあります。御影石の表面が「鏡面」になる最終段階では、塑性流動と呼ばれる現象により、表面の凹凸がなだらかになっているという説があります。石材の分野では、一般には表面仕上がりは光沢度で示し、光沢計を使って計測し、目視でもツヤの具合をよく見ます。蛍光灯などを写したとき、それがくっきりとした写像になるかどうか、といった官能評価が一般的です。金属材料のように、仕上がりの面粗度を計測することは稀です。

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