砥粒の破砕性と靭性について

2010年10月18日更新

砥粒は切削工具でいうところの刃に相当するパーツで、砥石はこの刃が多数存在し、比較的浅く切り込んでいく特徴を持つため非常に硬い素材でもワークの表層を加工していくことができます。この砥石でなぜものが削れるかという点については、砥粒の性質を表す概念の一つでもある「破砕性(フライアビリティ)」と深いかかわりがあります。

砥粒はワークを削る際に、ミクロレベルでは先端部分が小さく砕けながら常にシャープな面を突出させて、ワークを削り取っていきます。この砕けるという現象が起きないと、砥粒の損耗=先端が丸まっていくということになり、ワークを削る力が弱くなります。

ただこの破砕が頻繁の起きすぎると、削る前に割れてしまって砥粒が十分に働きません。ワークの種類にあわせて、適度に破砕するということがポイントです。この破砕性は、砥粒の「硬さ」と「形状」と深いかかわりがあります。砥粒がダイヤモンドならば、中に含有している不純物の量や種類とも強い関係があります。

一般には、硬い砥粒ほど砕けやすいため、破砕性は高くなります。下記表にないものについてもこの法則は概ね当てはまります。

一般砥粒の破砕性(フライアビリティ)とヌープ硬さの関係
砥粒の種類 ヌープ硬さ 破砕性
(フライアビリティ)
A 2020 50
WA 2020 57
PA 2050 48
HA 2100 38
C 2700 64
GC 2700 70

またこの破砕性と対置する概念として「靭性」があります。靭り(ねばり)強さのことですが、破砕しにくい砥粒について「靭性が強い」という言い方をします。こうした靭性のある砥粒は重研削で特に効果を発揮します。反面、中仕上げや仕上げ、精密研磨などの軽研削では破砕性の大きなもののほうが効果を発揮します。砥石を選ぶ際には、こうした砥粒の持つ特性も勘案する必要があります。

加工対象によってどのような砥粒を使った砥石が向いているかは、下記のような目安もあります

鋼材別に用いる研削砥石(一般砥石)の選択例:JIS規格による研削砥石の選択について

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